心の傷を治せますか？

仕事の合間を縫って、入院中の友人を、見舞うために病院へ行った。その病院は立派で、とても有名な病院だ。心配していた駐車場も、余裕あるスペースで、難なく止めることができた。受付に用件をつげると、インフォメーションのカウンターへ行くように促された。さすがに、大病院だ。仕事分担が細分化されている。面倒とも思わず、むしろ感心すらしながら、そのカウンターに向かった。

「○○さんのお見舞いに来たのですが、何号室ですか？」私は、対応してくれた年輩の男性に、気軽に質問した。「面会時間？11時からだよ！」その男性は、忙しいのか言い捨てるように、半身で応えた。『なんだ！この応対態度は！』私は壁にかかった時計の針を確認しながら、『もう少し、言い方もあるだろう！』と心の中で一人で毒づいた。そのとき、あと20分ほどで、11時だったのだ。

「申し訳ありません！面会時間は11時からになっております。あとしばらくお待ちいただけないでしょうか？」ぐらいのことが、なぜ言えないのだろうか？こうしたたった一人の職員の慇懃無礼な応対で、その病院のすべてを垣間見た思いだった。

入院患者の治療と十分な安静のため、面会時間が設定されていることぐらい私だって知っている。事前に面会時間を確認せずに来てしまった私の落ち度もあることは認めるが、言葉はときとして人を傷つけるものだ。心に負ったこの傷は、この立派な病院の立派な治療でも、簡単に治すことはできないだろう。

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